“五臓と未病”研究会

健康コラム

身近な薬草~クズ

くずきりやくず湯に使われるくず粉は、秋の七草のひとつでもあるマメ科植物のクズの塊根から生成されたデンプンで、日本では昔から食用に用いられてきました。クズは涼性なので、くずきりもくず湯も胃腸の熱を冷まし暑気を払う夏の風物食です。
薬草としては花を乾燥させたものを葛花(かっか)、根を乾燥させたものを葛根(かっこん)といいます。葛花は胃熱をともなう二日酔いに使いますが、使用頻度が高いのはなんといっても葛根で、発汗解熱や口渇を止める、筋肉の緊張を和らげるなどの働きがあり、葛根湯・参蘇飲・独活葛根湯などの漢方薬に配合されています。
葛根湯は、自然発汗がない初期のカゼや扁桃腺炎・中耳炎・蓄膿症・肩こり・大腸炎などの熱性の病気に広く使われるためか、江戸時代にはどんな病気でも葛根湯を出す「葛根湯医者」という言葉まであり、落語の枕話にも使われるほどです。
同じカゼの養生でも、体やお腹が冷える冬カゼには温かいしょうが湯を、熱の勢いが強い夏カゼには冷たいくず湯を飲む(熱勢が強い冬カゼの場合は熱い葛湯にしょうが湯を混ぜる)のが日本人の知恵です。