“五臓と未病”研究会

健康コラム

身近な薬草~ナツメ

 クロウメモドキ科のナツメ(棗)はアジア原産の果実です。万葉集に棗を詠んだ歌が二首あることからも日本への伝来が早かったことがわかります。「大和本草」には“棗、夏に芽を生ず故にナツメという”とあり、これが和名の語源とされています。
 昔から甘みが好まれて食用に供され、お粥やスープに加えたり、砂糖漬けや健康酒の材料にもなります。
 栄養学的には鉄分その他のミネラル類や葉酸・ビタミンB群・食物繊維などが多く含まれるので、特に貧血の方にはおススメの食材です。古代中国では五臓を養う五果(桃・栗・杏・李・棗)のひとつとされており「一日三個のナツメを食べれば老いが進まない」という諺があるほどです。
 漢方では成熟果実を乾燥させたものを大棗(たいそう)といい、胃腸を丈夫にする働き(補脾益胃)や精神を安定させる働き(養営安神)を利用して、小建中湯や甘麦大棗湯といった漢方処方に配合されています。
 また、生姜と組み合わせることで他の薬物の性質を穏やかにする(緩和薬性)とともに陰陽の平衡を回復させる(調和営衛)ことから、生姜-大棗のペアで実に多くの漢方処方に配合されています。
 ナツメを使った料理で真っ先に思い浮かべるのは韓国料理の参鶏湯(サムゲタン)ですね。訳のわからない薬膳料理が多いなかで、参鶏湯は滋養強壮・疲労回復の効果を実感できる、数少ない優れた料理だと思います。