“五臓と未病”研究会

健康コラム

身近な薬草~ユリ根

 ユリ科ユリ属の鱗茎(球根)であるユリ根は、その甘みとホクホクとした食感に特徴のある野菜です。
 ユリは北半球アジアを中心に世界中に分布していますが、鱗茎を食用とするのは中国と日本だけといわれています(ちなみに観賞用球根は食用と別品種)。
万葉集や本草和名にも名前が記載されていることから、平安時代には薬用食材として利用されていたと考えられています。
 ユリ根は良質のデンプン(炭水化物)が主成分で、ビタミン・ミネラル・食物繊維なども含まれており、栄養補給に優れています。
 正月料理や懐石料理、茶碗蒸し等でよく登場しますが、最近ではスープやおかゆの他、揚げたり蒸したり炊き込んだり様々な料理に使われていますね。ちなみに食用ユリ根の98%は北海道産で、その多くは関西に出荷されるのだそうです。
 漢方では生薬名を百合(ひゃくごう)といい、肺や体を潤して咳や咽喉の乾きを和らげる働き(潤肺止咳)や、むくみを取る働き(行水消腫)とともに、精神を安定させる働き(清心安神)があるので、不定愁訴・不眠・ヒステリー・動悸・神経衰弱などに効果があります。
 現代でいうノイローゼのような症状を古代中国では百合病といい、ユリ根はこの百合病を治すことから百合根という名がついたともいわれています。
 ユリ根は微かに体を冷やすので、体が冷えて咳や痰が出たり調子が悪いときは控えることが肝要です。