“五臓と未病”研究会

健康コラム

身近な薬草~シナモン

 独特の甘みと香り、そしてかすかな辛みを持つシナモンは世界最古のスパイスと呼ばれ、和菓子では京都の八つ橋、洋菓子ではシナモンロールやアップルパイなどに使われるとても身近な食材です。
 シナモンは熱帯に生育するクスノキ科の常緑高木ケイの樹皮を乾燥させたもので、生薬としては桂皮(ケイヒ)あるいは肉桂(ニッケイ)と呼ばれます。ケイの若い細枝も桂枝(ケイシ)という生薬です。
 日本には8世紀前半に伝来しており、正倉院宝物の中にも桂心(桂皮の上品)が奉納されています。
 桂皮や桂枝には体を温めたり、血行を促進して痛みを和らげる働きがあります。桂皮がお腹や体内を強く温めるのに対し、桂枝は体表面や上半身を発汗させて穏やかに温めます。
 そのため、桂皮は小建中湯・安中散・八味地黄丸・当帰四逆湯・十全大補湯などの温裏薬(体を芯から温める働きのある漢方処方)に配合され、桂枝は桂枝湯・葛根湯・小青龍湯・五積散などの解表薬(体表を温めて発汗させる働きのある漢方処方)に配合されています。
 ただし医薬品の品質企画書である日本薬局方では桂皮のみが掲載され、桂皮と桂枝の区別がなされていません。そのため日本の漢方製剤はすべて桂皮を使っています…桂枝湯といっても実は桂皮湯なんですね。
 シナモンスティックやシナモンティー、ニッキ味の飴もすべて体を温めるものです。冬の寒さから身を守るにはとてもいいですよ。逆に暑がりやのぼせ症、吐き気がある人には不向きですので念のため。